個人の小さな記憶をたどりながら
独自の「こども生活文化」を記録する
新潟市立女池小学校150周年記念事業『女池っ子 こども生活文化録』
Client | 新潟市立女池小学校150周年記念事業実行委員会 |
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Creative Direction | Shutaro Matsuura |
Workshop Design | Shutaro Matsuura |
Editing | Shutaro Matsuura |
Graphic Design | Minami Hayashi |
Illustration | Minami Hayashi |
新潟市立女池小学校150周年記念冊子の企画・編集・制作をU・STYLEにて行いました。
明治7年(1874年)に「己千舎(きせんしゃ)」として始まった現・新潟市立女池小学校は、令和5年(2023年)に150周年を迎え、その周年記念事業の一環として記念冊子の作成に取り組みました。
小学校の記念事業冊子の定番は、代表的な歴史や歴代校長の紹介、関係者からの祝福コメント、各クラス写真などを掲載するもの。今回はその定番を問い直し、女池小学校の150周年として今つくるべきものは何かを実行委員会のみなさんと検討を重ねることから始めました。
その中でたどりついたものが、「大きな歴史」に記述されていない「小さな歴史」。一人ひとりの記憶の中にある「個人的な歴史」とも言えます。卒業アルバムや公式の記録には残されていなくても、たしかに女池小学校の日々に存在していた、子どもたち一人ひとりの毎日がつくってきた歴史。150年の歴史のほとんどは、その小さな歴史の積み重ねによってつくられています。
150周年の記念誌では、女池小学校の歴史そのものであり、女池小学校らしさをつくってきた「小さな歴史」を時代ごとの「こども生活文化」と捉えなおし焦点をあて、それを記録し伝えるための冊子を、現役の児童や先生のみなさん、そして世代を超えた卒業生のみなさんとともに作成しました。
この冊子をつくる上での重要なプロセスが、各時代ごとの個人の記憶の掘り起こし作業でした。
在校生や、10代〜80代までの卒業生の方に世代別に集まっていただき、複数回のワークショップを実施。女池小学校のユニークな「こども生活文化」に紐づくキーワードから、それぞれの方が女池小学校に通った時代を思い出しながら、個人の記憶を掘り起こし、記録していきました。
150年のうちの約半分程度の期間のものにはなりますが、多くの「記憶」を集められたことによって、女池小学校の歴史やらしさをつくってきた片鱗や要因が、これまでになかった形で明らかになった冊子となりました。
女池小学校を形づくってきた「小さな歴史」の継承が、次の10年や50年、次の150年へのヒントや道しるべとなってくれたらと願っています。