
水俣病「から」伝える
新潟大学人文学部『これからどしたいっ!』
Client | 新潟大学人文学部 新潟水俣病ゼミナール |
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Creative Direction | Shutaro Matsuura |
Editing | Anna Hashimoto |
Design & Illustration | Haruka Fujita |
新潟大学人文学部の新潟水俣病ゼミナールが2年間の実習成果をまとめた冊子『これからどしたいっ!』をU・STYLEにて製本化しました。

執筆者は文化人類学や社会学を学ぶ3・4年生で、授業「フィールドワーク」の受講者。そして、授業を担当する同大学准教授の園田浩司先生です。学生のみなさんと先生は、実際に熊本県水俣市と新潟県阿賀野川流域へ足を運び、現地で文化活動を行う方々にお話を聞いて、文章をまとめられました。
園田先生と二人の学生さんと打ち合わせをした際に「水俣病『を』伝えるというより、水俣病『から』伝える冊子にしたい」とお聞きしました。水俣病そのものを発信するというよりは、水俣病という視点を通して読者がそれぞれに自分の暮らし方や生き方を考えるきっかけをつくる、そんな冊子になるように製本化を進めました。

前半が阿賀編、後半が水俣編で(中間には阿賀・水俣編もあり)、インタビュー記事・文化活動紹介・学生エッセイという3つの内容がそれぞれにまとまっています。見開き1ページでひとつの記事を読み切れるようにデザインしています。
表紙や中面のイラストは、学生さんと園田先生からお聞きした、生き生きとした活動者や患者のみなさんの様子にヒントを得て制作しました。いま行われている豊かな実践を楽しく伝えることで、広く手にとってもらえることを目指しました。



U・STYLEでは「自らがフィールドに入り、出会った人とともに考える」「複雑なことを複雑なまま伝える」といった文化人類学や民俗学のアプローチや考え方に共感し、デザイン活動に取り入れています。最近のプロジェクトでは、フィールドワークやインタビューなど質的な調査や分析を用いながら、地域や企業や人の未来を考える機会が増えています。