
新潟の食文化を
「ふうど」という文脈で編集する
新潟市 『にいがたふうど』
Client | 新潟市 |
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Editing & Writing | Anna Hashimoto |
Graphic Design | Idumi Shimizu |
Illustration | Yamato Kato |
Illustration | Haruka Ueki |
English Proofreading | Eric Matarrese |
Logo Direction | Shutaro Matsuura |
Logo Design | Yamato Kato |
新潟の食文化を伝える冊子「にいがたふうど」の制作、およびロゴマークやキャッチコピーの制作をU・STYLEにて行いました。

フードと風土。私たちを取り巻くもの、たとえば建築、衣服、道具などは、その土地の気候や自然といった環境に影響を受けています。料理も同じく、気候や地理的な条件のなかで育まれた素材を、人が工夫して組み合わせることで地域特有の料理が生まれてきました。「風土と人」の間に食文化はある。そんな考え方から、この冊子制作は出発しました。

風土の「風」をモチーフにしたロゴマーク。山や河川や砂丘、風や波などの自然や地形を抽象的に表し、グラデーションは雪、雨、日照りなど新潟の気候、そして新潟の食文化を形成してきた歴史の積み重なりを表現しています。造形の重ね合わせによる色の変化によって、エリアごとに異なる、新潟の多様な食文化を表しました。
冊子は「新潟県編」と「新潟市編」の二種類を制作しました。

「新潟県編」では、新潟県を岩船・蒲原・魚沼・佐渡・古志・頸城の6地域に分け、それぞれの風土の特徴や食文化、郷土料理を地図にまとめました。たとえば、岩船地域は「鮭の川」として知られる三面川と鮭料理の多様さについて、頚城地域は旧北陸道による関西とのつながりとその料理への影響などに着目しています。また、隣県である山形、富山、長野などとの料理の共通性についても考察しています。

「食」という切り口から新潟の歴史を見た年表や、新潟の食のシーンを変革してきた重要人物(フードイノベーター)をまとめた、歴史ページも盛り込みました。たとえば北前船の寄港や湊町としての繁栄といった歴史から生まれた物流や人の流れ、ほかの地域との結びつきによる食材や技術の交流など、歴史が与えている食文化への影響を表現しています。

「新潟市編」では、新潟市の地形や自然を一枚絵にし、山、川、海、平野、砂丘、潟から生まれる食をマッピングし、視覚化しました。海側から新潟市を眺めると、地形の多様さに気付きます。信濃川と阿賀野川が上流から運んだ土砂が砂丘となり、血管のように張り巡らされた大小の河川は、広い平野を流れて田畑を潤します。農耕だけではなく、山の幸や海の幸を日常の食にうまく取り入れてきた新潟市(蒲原地域)の食文化を表現しました。

江戸時代から明治時代にかけて栄えた「新潟湊」。北前船がやってきて人やものが集まり、料亭文化やおもてなし文化が花開いた時代は、いまの新潟市の食文化にも大きな影響を与えています。そこで、食文化形成に関わるキーパーソンと考えられる、豪農、廻船問屋(商人)、農家、料亭に着目し、それぞれの役割や関係性を図式化したページを制作しました。農村と港町が関わり合うなかで、新潟の食文化が育まれてきたことが伝わるよう、工夫を凝らしました。

監修は、食文化の原点を重視して活動されている「ふうどオフィス」の小島富美子さんと小島秀樹さん。大学や専門学校でも新潟の食文化や食と風土の関係を教えられています。
また、本冊子はインバウンド観光や農産物の海外輸出を見据えた英語版、学校での使用を想定した教材版にも展開しています。

日本語版・英語版ともに、新潟市のウェブサイトからダウンロードすることができます。
https://www.city.niigata.lg.jp/business/shoku_hana/niigatafood/leaflet.html
U・STYLEでは、地域に点在する資源をつないで文脈化し、ストーリーテリングや視覚化により、やさしく、深く、おもしろく伝えるデザインに取り組んでいます。
