個人の思考と感覚を
作品に昇華して記録する
土沼直亮スケッチ集『 きみどり – 植物と風景のスケッチ集 – 』
Client | 土沼直亮 |
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Creative Direction | Shutaro Matsuura |
Editorial Design | Yamato Kato |
庭師・土沼直亮さんのスケッチ集『 きみどり – 植物と風景のスケッチ集 – 』の制作をU・STYLEにて行いました。
『きみどり』は、土沼さんが日々のなかでふれた美しい植物や風景のスケッチと、その一つひとつに紐付く個人的な思考や感覚を言葉にしたエッセイをまとめたスケッチ集。
手描きの線のみによって表現されたスケッチとともに、彼自身の内面を細やかに感じとれる言葉が綴られています。
タイトル『きみどり』もU・STYLEから提案しました。
土沼さんが木や緑に向き合って生まれた作品である「木緑」。土沼さんが緑にふれて感じたことを記した「記緑」。曖昧さや、一点では不安定な要素同士の関係性によって調和や美をつくる日本庭園のように、中間的な色である「黄緑」。
それら複数の「きみどり」から着想したタイトルです。
コロナ禍をきっかけに始めたという手描きのスケッチ。
そこにはデジタル社会のありように感じる違和感や、翻って実際の草木や樹木に向き合う造園仕事にも通じる、現場で自分の目で見て自分の手で生み出す「現実味」に向き合うリアルな葛藤や心地よさが含まれていて、現代を生きる私たちに土沼さんのやわらかな言葉からやさしい問いかけをしてくれているようにも感じます。
「残しておかないと、考えたことや感じたこと自体もなくなってしまう気がする」
打ち合わせの際の土沼さんの言葉が印象的で、このスケッチ集は“今”形にするべきものだと強く感じてプロジェクトを進めました。
プロジェクトを通して、日々生まれる思考や感覚を細やかに丁寧にとらえること、それがなかったものにならないよう形(記録)にする姿勢や価値に、大切な気づきをいただいたように感じます。