母の礼状
– Monthly message –
U・STYLEでは、クライアントの方々へ毎月発送している書類に、時々のメッセージやトピックを同封しています。ここでは、その”Monthly message”を転載してご紹介します。
夫と私、双方の実家の荷物整理を、先日から始めました。
整理整頓の上手な夫の家は、空き家になって何年もたちますが室内は整っており、
「さすがお義母さん」と、心のなかで呟きながら整理を進めました。
写真が貼られたアルバムや趣味の品など、両親らしいものが数多く出てきます。
整理をしている中で、1枚の葉書が出てきました。
少し埃っぽい箱から手渡されたのは、私の母が夫の母に宛てた礼状でした。
「この度は結構な寝具をいただきありがとうございました。文章を書き慣れない私に、
礼状を書いたほうが良いと和美が勧めるので、無学でお恥ずかしいのですがお礼の葉書を書きました」
私自身にそのような記憶はなく、これはおそらく初めてみる母の礼状です。
遠慮がちではあるけれど、そこには丁寧に感謝と礼儀が記されていました。
こんな人だったんだ。
晩年こそ色白になりましたが、土が入り込んで茶色がかっていた母の掌の、ごわごわした感触を思い出します。
いつも土と向き合い、休みなく働いた手です。
その掌から送り出された瑞々しい一葉。
早春に逝った母の、知らなかった一面を見たようで、
少し嬉しく、そして少し哀しい気持ちです。
株式会社 U・STYLE
代表取締役 松浦 和美