山野で出会う
– Monthly message –
U・STYLEでは、クライアントの方々へ毎月発送している書類に、時々のメッセージやトピックを同封しています。ここでは、その”Monthly message”を転載してご紹介します。
上越市安塚区の里山で、無農薬で米を育てるようになってから、「田んぼの中だけじゃなくて、周りの環境も整えなきゃいけなかったのね」と気づき、除草機を使いながら畦やその周辺の草刈りをするようになりました。
除草後、さっぱりした田んぼの周りは風通しがよくなって稲も気持ちが良さそうです。
「そうだ、あそこもやっておこう」
除草の範囲を手つかずの山野にも広げていったある時、除草機が音をたてるその先に、見たことのない植物が一瞬視界に入ってきました。
勢いにまかせて他の草と共に刈り取ってしまうこともあれば、そこだけ残して作業の後に戻って見直すことも。
誰が見るわけでもないのに、山の植物は季節のなかで時に美しく、そして儚く変化していきます。次の週にいったらすっかりその様相はかわり、静的に見える植物が、実は命の移ろいをその瞬間で体現していることを教えられます。
昨年から、出会った野草の花たちや家屋敷の周りの季節の花々を「ハーバリウム」という植物標本にし、少しずつ販売もするようになりました。摘み取った植物の時々の表情が、ガラス瓶のなかで他の種類と合わさって小さな世界を醸し出してくれます。
存在感からすれば、市販の着色されたハーバリウムとは違い、野で生きるものの儚さも漂いますが、なんとなく芯のある、そしてゆったりとした時をまとっているように感じます。
あくせくした日々のなかで、ふっとハーバリウムの植物たちに目をやると、バタついている人間をガラスのむこうから黙ってみているようで、見られている方としては、ちょっと恥ずかしい気がします。
株式会社U・STYLE
代表取締役 松浦 和美